2025/01/17
- ベトナムM&Aの現場から~甘く見てはいけない株式譲渡契約後の手続き
- ベトナムは社会主義国でありWTOに加盟し自由化が進んでいるとはいえ、依然として経済活動には許可制の部分が多い。 このため、西側資本主義圏での企業買収とは異なり、株式譲渡契約書を締結しただけでは株主変更登記は完了しない。 株主変更登記を行うには、締結済みの株式譲渡契約書のサマリー版をベトナム語に翻訳し、 MPI(計画投資省)またはその傘下のDPI(計画投資局)に許可申請を行い、許可を得る必要がある。 またベトナム特有の書面主義により、許可申請や登記手続きの際に契約書原本の提出を求められることが多い。 このため、サマリー版契約書の原本を複数部準備し、政府認定の翻訳機関で翻訳および認証を受けた書類を ...
2025/01/02
- 2025年度 世界経済展望 ~変化の波をどう捉えるか~
- 2024年はウクライナ紛争が各国に大きな影響を及ぼし、政治・経済のバランスが大きく変化した1年であった。 地政学的リスクが高まり、世界はスーパーパワー不在の「Gゼロ」の時代に突入している。 混迷する世界情勢の中、2025年は日本企業にとって重要な転換点となるだろう。 【欧米】混乱の中で模索される未来 アメリカではトランプ元大統領が再び政権を握り、「アメリカ第一主義」が復活する。 関税障壁の強化や移民政策の厳格化によってアメリカへの直接投資が進む一方、輸出面では厳しい状況が続く見通しだ。 一方、ヨーロッパはウクライナ紛争の終結を目指す中で経済成長の見通しが暗く、政治的混乱が深まっている。 特に英 ...
2024/03/18
- 新興市場を目指すということ
- 中国市場を目指す話は始まってから既に長い年月が過ぎている。 最初に中国市場に本格的な進出を目指す姿を目にしたのは1994年、黒竜江省の世界的酪農品メーカーの工場を訪れた時のことだった。 双城市郊外の農村地帯に朝車で向かうと朝もやの中に城のような工場が現れた。 営業開始前に着いたためしばらく白樺の並木が続く道路脇に車を止めて時間調整をしていた。 すると朝もやの中から1台、そしてまた1台とガソリンタンクのようなものを積んだ馬車が次々に現れてくる。 当時の中国では滅多に目にすることのない不思議な光景だった。 この馬車群は次々に城のような工場の門を通り過ぎ、塔のような建物の方へ向かっていく。 営業開始 ...
2024/03/12
- ベトナム国営企業との交渉
- ベトナム企業との出資交渉は過去中国における経験が役に立つところがある。 ベトナムは社会主義国である。このため多くの大企業が国営だ。最近民営企業も躍進しているが、やはりこの国の経済は国が主導している。 ただ、国営企業は多くが経営難である。旧態然とした経営体質では今の時代を生き残れるわけがない。このため国有企業の株式の民間への放出が盛んに行われている。 北ベトナムのあるセメント系企業と出資交渉をした時のことである。訪問し簡単な打ち合わせをした後、すぐに食事に移行する。そこには非常に多くの人々が集まり会議で発言するわけでもなく乾杯ばかりしている。肩書きは立派だが、皆仕事の話をあまりしない、クリエイテ ...
2024/03/12
- イスラエル先端技術〜興味から行動を起こすまでのギャップ
- 我々は今、様々なイスラエルの先端技術向け投資案件を日本企業に紹介している。もう相当数紹介してきた。 イスラエルの人々は思慮深く、とても行動的で、しかもへこたれない。 粘り強く、諦めずに世界にないアイデアを考え、行動を起こし、現実のものとしていく。 学生→軍隊→世界旅行→帰国し創業→渡米→NASDAQはお決まりのパターンだ。 日本でイスラエル案件の営業をしていると 「先端技術凄いんだってね。興味はあるよ」 「しかし危ないだろ。なかなか行けないよね」 「日本人がイスラエルの人をコントロールできるのだろうか」 だいたいこの3つのフレーズが会議では出てくる。 つまり、 「先端技術には興味はあるけど、や ...
















