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2025/01/02

2025年度 世界経済展望 ~変化の波をどう捉えるか~

2025年度 世界経済展望 ~変化の波をどう捉えるか~

2024年はウクライナ紛争が各国に大きな影響を及ぼし、政治・経済のバランスが大きく変化した1年であった。
地政学的リスクが高まり、世界はスーパーパワー不在の「Gゼロ」の時代に突入している。
混迷する世界情勢の中、2025年は日本企業にとって重要な転換点となるだろう。

【欧米】混乱の中で模索される未来

アメリカではトランプ元大統領が再び政権を握り、「アメリカ第一主義」が復活する。
関税障壁の強化や移民政策の厳格化によってアメリカへの直接投資が進む一方、輸出面では厳しい状況が続く見通しだ。
一方、ヨーロッパはウクライナ紛争の終結を目指す中で経済成長の見通しが暗く、政治的混乱が深まっている。
特に英国・ドイツ・フランスの主要国では政権交代や極右の台頭が注目されており、安定した経済政策が期待しづらい状況だ。

【ロシア・中国】大国の揺らぎ

ロシアはウクライナ紛争で一時的な優位を得ているが、経済制裁の影響で金利は21%に達し、国内経済は停滞している。
エネルギー輸出の減少や同盟国の離反が続き、戦後復興に向けた課題が山積している。
一方、中国は不動産バブル崩壊の影響が続き経済成長率は鈍化。
アメリカの対中関税強化も重なり、輸出の伸び悩みが予想される。
現在は中国企業は東南アジアへの生産拠点移転を進めるなど新たな成長戦略を模索しているが、世界経済への影響力低下は避けられないだろう。

【アジアの台頭】インドと東南アジアに注目

インドは、欧米やグローバルサウスとの巧みな外交を展開し、安定した経済成長を維持している。
日本企業にとっても投資の有望先であり、中堅・中小企業が参入することでさらなる産業集積が期待される。
また東南アジアではベトナムが安定した成長を見せており、政治的安定性や若い労働人口の多さから魅力的な投資先となっている。
ただし、技術移転や人材育成においては十分な配慮が必要である。

【日本企業の挑戦】変化への適応がカギ

日本企業に求められるのは、激動する世界市場でリスクを恐れず成長の機会をつかむことである。
円安や自動車産業の変革など国内課題に対応しつつ、アメリカやアジア市場での投資を強化する必要がある。
現地の文化やビジネス習慣を尊重し、シナジーを生む柔軟な戦略が不可欠だ。

2025年はこれまでの発想を転換し、新たな市場で果敢に挑む覚悟が問われる年である。
リスクを避けるだけでは成長のチャンスを逃してしまう。
世界の変化にどう対応するか。
私たち一人ひとりの挑戦が日本企業の未来を大きく左右するだろう。

激動する世界の中で日本企業がじりじりと後退していく姿を目にするのは、決して楽しいものではない。
リスクのないビジネスなど存在せず、2025年には世界の動きがさらに加速するだろう。
日本企業を取り巻く環境は余裕を持って海外投資を進められた時代から、
生き残りをかけた「待ったなし」の時代へと急速に変わりつつある。

海外市場に溶け込み、成長市場と共に成長を取り込む体制へと、人も企業も転換を迫られている。
同じ発想を繰り返し「難しい」と判断して足を止めている間にも、新興国企業はベンチャースピリッツに乗り、さまざまなリスクを乗り越えながら成長を続けている。
日本企業にも、こうしたリスクに敢えて飛び込む勇気が求められている。

2025年1月2日
グローバルゲート株式会社
代表取締役 加藤 修

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